賃貸借の“保証金”とは!? 相場や敷金･礼金との違いを理解しよう!

賃貸住宅の賃借の初期費用として入居者が敷金や礼金を支払うことはご周知の通りですが、敷金ではなく保証金を納入するケースがあることをご存知でしょうか。

今回は、賃貸借の保証金について解説します。

保証金

保証金は住宅の賃貸借にかかる初期費用の1つで、契約時に借主（入居者）が貸主（大家）に納入するお金のことを言います。

保証金の納入は家賃の滞納や入居者負担による賃貸住宅の修繕が発生した時の“担保”を目的とするものであり、入居者が予め大家に預けておく、退去時に返還される等の性質からも、“敷金”と同じ意味を持つと考えてよいでしょう。

なお、保証金は主に関西地方で採用され、関東地方及びその他の地域では敷金が用いられると言われていますが、賃貸情報サイトを見ると関西でも敷金の名目で保証金の授受が行われている事例を確認することができます。

Point

保証金は、敷金と同じく退去時に借主に返還されます。

もちろん、入居中に家賃の滞納があった場合や退去時に借主の過失による賃貸物件の修繕が発生する場合は保証金からそれらに相当する額を引かれた金額が返金されますが、この点も敷金と同じと考えてよいでしょう。

ただし、家賃の滞納や借主の負担による修繕の有無に関わらず、預けておいた保証金から一定額が差し引かれるケースがあります（いわゆる“敷引き”）。

契約時に締結する“敷引き特約”を根拠に、納入した保証金から一定の額が差し引かれる“敷引き”が行われることがありますが、差し引かれた金額は返還されません。

Point

保証金の返金額＝保証金−（敷引き金+借主負担の修繕費用など）

敷引きは借主の過失（家賃滞納や借主負担の修繕など）による保証金からの差し引き金とは別個のものであり、まずは保証金から敷引き金が差し引かれ、状況次第でさらに修繕費用や滞納金に相当する額が引かれた残額が退去時に借主に返還されることになります。

例えば家賃が6万円、保証金が家賃5ヶ月分で敷引きが家賃2ヶ月分と言う条件では、退去時に保証金30万円から敷引き金12万円が差し引かれ、残りの18万円が借主に返還されますが、場合によってはその18万円からさらに修繕費用等が差し引かれる可能性があります。

保証金の相場は家賃3~6ヶ月分と言われており、その相場が家賃1~2ヶ月分である敷金と比較すると少々高い印象を否定できません。

契約時に少なくとも3月分の家賃を納入しなければならず、さらに敷引きにより一部が返還されないとなればかなり割高に感じてしまいますが、保証金が採用される物件では礼金の支払いがありませんので（特に関西地方）、礼金を支払う代わりに敷引き金が差し引かれると考えれば納得できない話ではないでしょう。

もちろん、初期費用が増えると言う意味で入居者の負担が大きくなることは確かだと思いますが。

保証金と敷金の関係を考えてみると、万が一の場合の担保として事前に大家に預けておく、原則として退去時に返金されると言う基本的な性質において両者に違いはなく、保証金と敷金は同じものであると言うことができます。

違いを挙げるとすれば、敷金の相場が家賃1~2月分であるのに対し保証金の相場が家賃3~6月分であること、保証金は敷引きにより一定の額が差し引かれることくらいでしょうか。

一概には言えないものの、保証金は関西地方で採用されることが多く、関東はじめそれ以外の地域では敷金が採用されることが多いことも両者の違いと言えるかもしれません。

また、保証金と礼金の関係については、契約時に納入しておく保証金から差し引かれる敷引き金が礼金に相当すると言う点において、保証金が敷金のみならず礼金の性質を持ち合わせると言うことができると思います。

住宅の賃貸借の保証金について総括すると、以下のようにまとめることができます。

まとめ

今回は、住宅の賃貸借にかかる初期費用の1つである保証金について解説しました。

敷金や礼金、保証金と様々なルールがあり、面倒に思えるかもしれませんが、契約条件をしっかり把握し、良い賃貸生活を始めましょう。