賃貸の初期費用(敷金・礼金)とは!? 相場や返金について解説!

賃借の初期費用

新たに賃貸住宅を借りる際には様々な初期費用がかかりますが、特に敷金と礼金についていまひとつよく分からないと言う方も多いのではないでしょうか。

今回は、この敷金と礼金について解説します。

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賃貸の初期費用

住宅の賃借(賃貸物件を借りること)には初期費用が発生し、入居者は契約時に4~5ヶ月分の家賃に相当する額を支払うことになります。

例えば、物件の募集広告に“家賃5万円、敷金1ヶ月、礼金2ヶ月”と書かれている場合は、それだけでも15万円(敷金=5万円×1、礼金=5万円×2)を支払わなければなりません(仲介手数料や火災保険料などその他費用もある)。

住宅の賃借にかかる初期費用

  • 敷金
  • 礼金
  • 初月分の家賃(前払い)
  • 仲介手数料
  • 保険料(火災保険など)
  • 家賃保証会社への手数料

入居者にとってこれらの初期費用の負担は厄介な問題ですが、その中でも大きな部分を占める敷金と礼金について、詳細を解説します。

敷金

敷金は住宅の賃借にかかる初期費用の1つであり、不動産の賃貸借の際に賃料その他賃貸借契約上の債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭を言います。

敷金

賃貸人は、敷金(いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この7において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。(以下略)

民法(債権関係)の改正に関する要綱案第33-7より

法律用語の理解は難しいですが、簡単に言うと入居者の過失による賃貸住宅の損傷や家賃の滞納が発生した時のために契約時に入居者が支払っておくお金のことで、“万が一の場合の保証金”と理解しておけばよいでしょう。

詳しくは後述しますが、この敷金は入居者の過失がない限り、原則として退去時に返金されます

なお、敷金の代わりに“保証金”を納入するケースもありますが、詳細はリンク先のページをご確認下さい。

賃貸借の“保証金”とは!? 相場や敷金・礼金との違いを理解しよう!
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敷金の相場

地域差や貸主の考え方によっても異なるものの、現在では1ヶ月、場合によっては2ヶ月分の家賃が敷金の相場になっています(家賃5万円の物件ならば5万~10万円)。

敷金の相場は年々下がり続けており、例えば10年前は敷金=家賃3ヶ月分と言うケースもあったのですが、今では家賃1月分はおろか、“敷金0物件”も珍しくありません。

ポイントは退去時!? 敷金なし物件のメリットとデメリットとは?
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原則として返金される

入居者の過失がなければ、敷金は原則として退去時に返金されます

敷金は万が一の場合に備え貸主(大家)に預けておく保証金、担保ですから、家賃の滞納や入居者の過失による賃貸住宅の損傷がない限り、貸主は全額を入居者に返却しなければなりません。

もちろん、過去に家賃の滞納があり、未払い分の支払いが完了していない場合、入居者の過失により修繕が必要な箇所がある場合はこの限りでなく、それらの補填費用を敷金から差し引いた金額が返金されます(状況次第で敷金が返金されない、さらに追加費用を請求される可能性もある)。

敷金とクリーニング代

過去の裁判所の判決をもとに国土交通省が発表する“原状回復をめぐるガイドライン”では、賃貸契約終了後に貸主が借主へ請求できる修繕費用は入居者の過失に起因するものに限定され、経年劣化や通常使用による消耗であれば借主に負担義務はないとの考え方を示しています。

従って、借主が通常消耗等の修繕負担を履行する旨の特約が存在する場合を除いて、クリーニング代(いわゆるハウスクリーニング)に敷金を当てることはできません。

例えば、経年劣化によるクロスの変色や冷蔵庫の裏の電気ヤケ等の修繕は貸主が行うべきものであるとされており、ハウスクリーニング料金はじめこれらの修繕を名目に貸主が敷金の返金を行わないことは原状回復をめぐるガイドラインに反している可能性があります。

修繕内容と入居者の負担義務
入居者の負担義務なし入居者の負担義務あり
  • 日焼け等の自然現象によるクロスの変色
  • 画鋲やピンなどの穴
  • 家具の設置による床の凹み、跡
  • 冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)
  • 浴槽・風呂釜等の取り替え
  • 鍵の取り替え
  • ハウスクリーニング
  • 釘穴、ネジ穴
  • タバコのヤニによるクロスの汚れや変色
  • 床に飲み物をこぼしたことによるカビやシミ
  • 引っ越し作業時に付けた床の引っかき傷
  • 鍵の紛失または破損による取り替え
  • 飼育ペットによる柱等の傷、臭い

敷金の返金が不当に履行されない場合は、その回収のために国民生活センターに相談する、あるいは訴訟を起こすことも1つの方法と言えるでしょう。

礼金

礼金は賃貸物件を所有する大家に対してお礼の意味を込めて支払うお金を言いますが、敷金と違って返金されないことが最大の特徴です。

聞けば、賃貸住宅の物件数が少なかった時代に入居者が大家への感謝の気持ちとして支払っていたことを起源とするとか。

賃貸物件が飽和状態とも言える現在ではその存在意義が希薄であり、単にお礼のためと言われると大家が収入を増やすためだけに存在する悪しき慣習のように思えなくもないですが、決してそうではありません。

私も賃貸を所有していますが、礼金は退去物件の修繕に当てられ、1月分の家賃を礼金として貰ったとしても1度ハウスクリーニングを行えば手元には一銭も残りませんし、逆を言えば礼金がなければ物件の修繕を行うことができず(敷金をハウスクリーニングに使うことはできない)、賃貸物件を維持管理できないのです。

初期費用が増える分入居者にしてみれば厄介な存在かもしれませんが、大家にとって礼金は経営上受け取らざるを得ないお金とも言えるのです

礼金の相場

家賃1月分から2月分が礼金の相場です。

一昔前は家賃3ヶ月分を礼金として受け取ることもありましたが、物件が飽和状態の現在では入居者の初期負担を少しでも軽減すべく敷金同様に礼金の額も減少しており、“礼金0”の物件も珍しくありません。

ちなみに、敷金と礼金のいずれの負担も発生しない物件は敷金礼金なし物件と呼ばれます。

その他初期費用

敷金と礼金の他、賃借の初期費用として入居者は仲介手数料や火災保険料、家賃保証会社への保証手数料を支払います。

仲介手数料は賃貸人(貸主、大家)と賃借人(入居者)の間を取り持った不動産会社に対して支払う手数料で、1月分の家賃が支払額の相場です(上限は1月分の家賃+消費税)。

火災保険は火事や水漏れにより賃貸物件に損害が発生した場合の損害を担保するもので、家賃保証会社に連帯保証人の代行を依頼する場合はその手数料も発生します。

家賃保証会社について解説! 料金や審査基準はどうなってるの!?
...

なお、物件の募集欄に敷金や礼金と並んで“管理費”または“共益費”と記載されることがありますが、こちらは家賃と一緒に月ごとに支払う費用であり、初期費用に含まれるものではありません。

まとめ

住宅の賃借にかかる初期費用について話を総括すると、以下のようにまとめることができます。

敷金は万が一の場合に備え予め大家に預けておくお金で原則として返金されますが、礼金は返金されないお金であると覚えておけばよいでしょう。

まとめ

  • 部屋を借りる場合は家賃4~5ヶ月分に相当する初期費用がかかる
  • 敷金は原則として退去時に返金されるが、礼金は返金されない
  • 敷金、礼金ともに相場は家賃1~2ヶ月分である
  • 最近は“敷金0”、“礼金0”の物件も多い

終わりに

いかがでしたでしょうか。

住宅の賃借には多くのお金がかかりますし、後々のトラブルを避けるためにも敷金と礼金をはじめとして契約内容をしっかり理解し、賢くよい物件を探しましょう。

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