以前、駐車場として利用される土地に対する消費税の課税の有無について投稿しましたが、今回は賃貸住宅の家賃と消費税の関係を解説します。
住宅をはじめ、事務所や店舗等の物件の家賃には消費税がかかるのでしょうか。
居住用の物件は非課税
事務所などの建物を貸し付ける場合の家賃は課税の対象となります。この場合、家賃を土地部分と建物部分とに区分している場合でも、その総額が建物の貸し付けの対価として取り扱われます。
なお、住宅用としての建物の貸付けは、貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税となります。ただし、契約において住宅用であることが明らかにされているものに限ります。
国税庁:”タックスアンサー No.6225-2 家賃”より
賃貸住宅の家賃は消費税の課税対象とはなりません(敷金、礼金、共益費なども同じ)。
従って家主が借主(入居者)から消費税を徴収する必要はなく、借主が消費税を支払う必要もまたありませんが、現に賃貸住宅にお住いの方は消費税の支払いを請求されておらず、毎月家賃のみを支払っているはずです。
厳密には貸し付け期間が1月に満たない場合には賃貸住宅の家賃も消費税の課税対象となるものの、住宅の賃貸借契約においてその期間が1ヶ月未満というケースはまずあり得ませんから、無視しても何ら問題はないでしょう。
家賃と消費税の関係については、消費税が導入された平成元年(1989年)の時点では賃貸住宅の家賃も消費税の課税対象とされていたのですが、平成3年に非課税とされた経緯があります。
付帯する駐車場と消費税
賃貸住宅に駐車場が付属する(駐車場代が家賃に含まれる)場合は単独での駐車場代が発生しませんので、当然ながら消費税がかかることはありません。
一方、家賃に駐車場代が含まれておらず、別途入居者が駐車場代を支払うケースではその駐車場代が消費税の課税対象となります。
事務所・店舗の家賃は課税対象
事務所や店舗など、居住用ではなく事業のために賃借される物件の家賃は消費税の課税対象となります(管理費、共益費、敷金や保証金の償却分も同じ)。
よって、物件の貸主は消費税を納入する義務を負い、借主は家賃と共益費の他これらに課せられる消費税に相当する金額を毎月支払います。
具体的には、事務所や店舗の他、商品等を保管する倉庫、工場などが事業用の賃借物件に該当しますが、特に倉庫と工場の賃貸借においては家賃ではなく借賃と呼ぶべきでしょうか。
なお、物件の借主が法人であるか個人であるかによって家賃に対する消費税の課税非課税が決まると言う声がありますが、それは正しくなく、消費税がかかるかからないはあくまでもその物件をどのような目的で賃借するのか、その利用の目的により決定されます。
消費税の課税対象となる物件の例
- 事務所
- 店舗
- 倉庫
- 工場
社宅
企業が社員のために用意する社宅の家賃は消費税の課税対象にはなりません。
社宅は会社が一括で借り上げ賃料を貸主に支払いますが、その目的はあくまでも社員の住宅の確保にありますので、家賃に消費税が課税されることはないのです。
なお、社員が社宅の家賃を全額負担する場合、その一部を負担する場合、負担しない(全額を会社が負担する)場合のいずれにおいても、消費税は非課税です。
まとめ
家賃(物件の借賃)と消費税の関係を以下にまとめてみました。
住居に係る家賃に消費税が発生することはありませんが、課税の有無がどのような目的でその物件を借りるのかによって決定されることがポイントと言えます。
まとめ
- 賃貸住宅の家賃に消費税はかからない
- 事業用に賃借される物件の借賃は消費税の課税対象である
- 消費税の課税、非課税は物件の利用の目的(居住用か事業用か)により決まる
終わりに
いかがでしたでしょうか。
住宅の家賃は消費税の課税対象ではありませんが、事業用に賃借する物件の家賃には消費税がかかることを覚えておきましょう。
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