高タンパクでグレインフリー(穀物不使用)であること、子猫、成猫、老猫と全年齢に対応していること、品質が非常に高いこと等が好評を得ているキャットフード“モグニャン”ですが、尿路結石症にも対応しているのか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は、その成分や実際に我が家の猫に食べさせてみた結果をもとに、モグニャンの尿路結石の予防効果を検証しようと思います。
はじめに
はじめに“モグニャン”の概要を確認しておきたいのですが、同じく最高品質のキャットフードとして不動の人気を誇る“カナガン”のスタッフが総力を上げて開発したフードであり、フード工場の専門家と何度となく打ち合わせを重ね、ようやく完成したのがこのモグニャンキャットフードと言われています。
カナガンのスタッフによって製造される以上その品質の高さは疑うべくもなく、穀物不使用、全年齢対応、着色料・香料不使用など、嬉しい要素が満点。
実際に利用したオーナーの満足度も非常に高く、“抜群に食いつきが良い”、“他のフードと比べて香りが良い”などの喜びの声が多く寄せられていますが、93.9パーセントの方が再び利用したいと回答していることからもその完成度の高さを知ることができます。
私も我が家の猫に食べさせてみたのですが、本題である尿路結石症に対する配慮はさておき、香りの良さと食いつきの良さ、便の臭いがガラッと改善したことには衝撃を受けました。
成分
尿路結石症の予防効果を検証するためにはモグニャンの栄養成分に注目する必要がありますが、パッケージを見ても詳細が書かれていない…
よって、私たちが知り得るのは下の表にある程度の大まかな情報に限られ、尿路結石の生成に大きく影響するマグネシウムやリン、カルシウム等のミネラルの含有量がわからないわけですから、これはもう実際に食べさせてみるより他ありませんね。
粗タンパク質 | 30% |
脂質 | 16% |
粗繊維 | 3% |
粗灰分 | 6% |
水分 | 7% |
オメガ6 | 2.95% |
オメガ3 | 2.08% |
エネルギー(100gあたり) | 374kcal |
なお、モグニャンには穀物の代わりにサツマイモやリンゴ、クランベリーなど健康に良いとされる食材が多く使われ、このクランベリーが尿を酸性にする効能を持つためストルバイト結石の予防につながると言う意見も多いのですが、その真偽も気になるところです。
モグニャンの原材料
- 白身魚
- りんご
- サツマイモ
- かぼちゃ
- クランベリー
- サーモンオイル
- セイヨウタンポポ
実験結果
と言うわけで、モグニャンの尿路結石症予防効果を明らかにすべくある実験を行ってみたのですが、実験と言っても決して大掛かりなものではなく、モグニャン投与前と投与後の猫の尿pHをチェックしようと言うもの。
①ストルバイト結石と②シュウ酸カルシウム結石のどちらかが泌尿器系に悪影響を及ぼす猫の尿路結石症は、尿のpH度数がその生成に大きく影響し、尿がアルカリ性(7.0以上)に傾くとストルバイト結晶が、酸性(5.8以下)になるとシュウ酸カルシウム結晶が生成されやすくなると言う特性があるため、モグニャンを食べさせた後の尿pHを調べることで尿路結石症に対する影響がある程度明らかになると言うわけですね。
なお、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の両方を予防するには猫の尿が極端に酸、アルカリに傾くことを抑制し、pHを6.0~6.5の弱酸性に保つことが重要と言われていますので、モグニャンを食べさせた後のpH値がこの範囲に収まるか否かが1つの目安になります。
気になる結果は下の表にある通りで、モグニャンを与えたところ尿pHが一気にアルカリに傾いてしまったわけですが、投与前まで5匹とも6.0~6.4と理想的だったpH値が、1匹を除いてストルバイト結石の生成が始まる7.0を大きく上回ることに。
中にはpH試験紙の計測可能値を超えてしまった個体もおり、その色の変化から推測するところによればpH値は何と9.0…!?
猫 | 尿pH | |
投与前 | 投与開始の翌々日 | |
a(メス・4歳) | 6.4 | 7.0 |
b(メス・4歳) | 6.0 | 7.2 |
c(オス・4歳) | 6.2 | 9.0 |
d(メス・4歳) | 6.4 | 8.6 |
e(メス・8歳) | 6.0 | 6.4 |
この結果を見る限り実際のところはクランベリーの効果など全くないようですが、非常に評判が良いモグニャンも、ストルバイト結石症を患う猫、尿がアルカリ性になりやすい比較的若い猫に与えるには少々難があるようです。
(尿をアルカリ性にする性質上、尿pHが酸性になりやすい7歳以上の猫との相性はむしろ良いかもしれません。)
ちなみに尿pHの測定には市販のpHチェッカーを使用したのですが、下に紹介する商品は5.8、6.0、6.2…と0.2単位での計測ができるので非常に重宝します。
まとめ
今回の実験により、モグニャンには猫の尿をアルカリにする特性があり、シュウ酸カルシウム結石の生成予防を期待できる一方、ストルバイト結石には対応できないことがわかりました。
もちろん、結石の生成に関する要素は他にもあり、尿がアルカリ性になったからと言って必ずしもストルバイト結晶化するわけではなく、仮に結晶が出来ても水分を十分に摂取することで尿の量を増やし体外へ排出することも出来ます。
さらに、メス猫はオスに比べ尿道が広く、結晶ができてしまってもこれと言った症状が出ないことも多いのですが、場合によって重篤化する可能性を完全に否定できない以上、少なくともストルバイト結石対策としてモグニャンが適しているとは言い難いのではないでしょうか。
モグニャンの特徴
- 品質と食い付きは抜群
- ストルバイト結石症を患う猫、若い猫には不向き
- 7歳以上の猫に適している
終わりに
今回はモグニャンの尿路結石症の予防効果について投稿してきましたが、実際に食べさせてみたところストルバイト結石に対する配慮が十分でないことがわかりました。
同時に、今回の試みは如何に評判が良い製品でも猫の体質や健康状態によっては適さない場合があることを物語っており、情報を鵜呑みにせず、愛猫にとって最良のフードを選択することの大切さを教えられたような気がします。
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