尿路結石症を患う猫の療法食として有名なロイヤルカナンのpHコントロールですが、製品のラインナップが数種類あり、中でも“pHコントロール1と2の違いがよく分からない”方も多いのではないでしょうか。
今回は両者の違いや各製品の結石溶解・防止に対する効果についてロイヤルカナンに問い合わせてみたので、早速その結果を投稿します。
ラインナップの確認
はじめに数種類あるロイヤルカナンpHコントロールのラインナップを確認しておきたいのですが、現在販売されているドライタイプの製品は以下の5種類。
製品名 | 味 | 容量 |
pHコントロール1 | チキン/フィッシュ | 500g/2kg/4kg |
pHコントロール2 | チキン/フィッシュ | 500g/2kg/4kg |
pHコントロール0 | チキン | 500g/2kg |
pHコントロール オルファクトリー | フィッシュ | 500g/2kg/4kg |
pHコントロールライト | チキン | 500g/2kg/4kg |
本投稿のテーマでもある“1”と“2”の他、“ゼロ”、“オルファクトリー”、“ライト”と様々な商品があり、選択肢が広がる一方で少々ややこしいような…
しかしながら、大切な猫ちゃんにとって最適な選択をすることが何よりも大切ですから、味や結石に対する効果の違いなど各製品の特徴を確実に理解しておきましょう。
pHコントロール1
定番中の定番とも言えるpHコントロール1ですが、膀胱内の尿pHを弱酸性(5.8~6.2)にすることでストルバイト結石を溶解させ、再結晶化を予防します。
元来はストルバイト結石への効果をメインにしていたためにシュウ酸カルシウム結石対策との兼ね合いに注意が必要(尿pHを下げ過ぎるとシュウ酸カルシウム結晶ができやすくなるため)でしたが、商品改良が進んだ現在では両結石に対する配慮がなされており、その心配はなくなりました。
よって、ストルバイト結石が出来てしまった猫はもちろん、一旦結石が溶解した後の予防食、さらには尿路結石症に罹ったことがない猫ちゃんに与えることも可能です。
pHコントロール2
pHコントロール2は、もとはpHコントロール1と対照的にシュウ酸カルシウムの結晶化を予防する目的でつくられたフードですが、pHコントロール1同様に商品改良が進み、現在ではストルバイト結石の溶解と予防を期待することも出来ます。
“シュウ酸カルシウム結晶の生成を防ぐことを第一目標としながらもストルバイト結石に対する配慮を欠かさない”と言ったところでしょうか。
pHコントロール1と同じくチキンとフィッシュの2種類の味が用意されていることも嬉しいところですね。
pHコントロール0
pHコントロール0はロイヤルカナンのpHコントロールシリーズの中でもストルバイト結石の溶解・予防効果が最も高く、ストルバイト結石が出来てしまった場合の第一選択として投与すべきフードと言えます。
ストルバイト結石の溶解を目指す場合にロイヤルカナンの療法食の中ではこのpHコントロール0が最優先で処方されるのが一般的で、実際に我が家の猫がストルバイト結石症に罹った時もかかりつけの獣医からまずはこれを食べさせるように指示され、投与開始から1週間後には結晶が見事に消えていました。
意外と知られていませんが、シュウ酸カルシウム結石の生成を予防する効果もシリーズの中で最も高く、ストルバイト結石溶解後の予防食として継続的に投与しても全く問題ありません。
また、我が家の猫達のようにシリーズの中でこのpHコントロール0を最も好む個体もいますので、一部に存在する“ゼロは1番不味い” と言う噂の信憑性には少々疑問が残ります。
pHコントロール オルファクトリー
こちらはpHコントロールのシリーズの中で最も新しく、“従来の製品を好まない猫でも食い付く療法食”を目指して開発された製品です。
フレーバーのみならず原材料そのものに魚肉を使用する贅沢な製品ですが、猫の食欲を刺激するため香りにもこだわっているだけあり、“圧倒的に食い付きが良い”と言う評判も多いようですね。
カロリー密度が低く設定されているので肥満気味の猫にとっても嬉しいフードと言えます。
pHコントロール ライト
pHコントロールライトは他のシリーズと同じくストルバイト結石の溶解と予防、シュウ酸カルシウム結石の生成を防止する効果を持ちますが、カロリーを低く抑えることで肥満気味の猫に対しても安心して投与できることが最大の特徴です。
脂肪分を抑えてある分タンパク質の含有量が多く、これに食欲をそそられる猫ちゃんも少なくない一方、味がチキン1つしかない点は少々残念なところでしょうか。
1と2の違い
ここで今回のテーマでもあるpHコントロール1と2の違いに話を進めますが、はじめに結論を言うと両者の間に大きな違いはありません。
と言うのも、前述の通りストルバイト結石に対応する製品がpHコントロール1、シュウ酸カルシウム結石に対応する製品がpHコントロール2と元来はその目的が異なり、当然ながら成分にも違いがあったものの、前者にシュウ酸カルシウム結石への配慮が、後者にはストルバイト結石への配慮が加えられた結果、両者の効能がほぼ同じところに落ち着いたとのこと。
pHコントロール1が尿pHを下げ過ぎる(酸性化する)ことによりシュウ酸カルシウム結石ができてしまうリスクを、逆にpHコントロール2が尿のpH値を上げる(アルカリ性にする)ことでストルバイト結石が生成されるリスクをそれぞれ解決したことが最大の理由ですが、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の関係を考えれば、非常に画期的なことと言えるのではないでしょうか。
ちなみに、味についても両者全く同じ設定で、チキン味とフィッシュ味のいずれかを選択することができます。
ただし、同じチキン味とフィッシュ味でもpHコントロール1と2では微妙に異なり、その違いを判断できる猫ちゃんもいるらしいので、あえて両者が区別される理由はこの辺りにあるのかもしれませんね。
結石の溶解・予防効果の違い
1と2の違いだけでなく、pHコントロールシリーズ5種類間のストルバイト結石の溶解・予防に対する効果の違いについても質問してみたので、その結果にも触れておきます。
ミネラルバランスを適切に調整すると同時に尿pHを弱酸性にしてストルバイト結石の溶解と再結晶化の防止を図るメカニズムは全製品に共通しますが、ロイヤルカナンの回答によればその効果はpHコントロール0がダントツに高く、次いでオルファクトリー、さらに1と2、そしてライトが続くとの回答を得ました。
ストルバイト結石に対する効果製品名 | ストルバイト結石の溶解・予防効果 |
phコントロール0 | S |
pHコントロール オルファクトリー | A+ |
pHコントロール1、2、ライト | A |
最も味にこだわっているオルファクトリーが2番目にランクすることには少々驚きましたが、1と2、ライトとの差はわずかで、“ゼロだけが抜きん出ておりそれ以外は全て一緒と言ってもよい程度の微妙な違い”とのこと。
となるとゼロ以外の製品については猫の好みに合うかどうかが最重要事項になるので、それぞれ500g入り製品を購入して順番に食べさせ、最も食い付きが良い製品の2kgもしくは4kg入りを継続して購入するのがよいと思います。
前述の通りシュウ酸カルシウム結石の予防効果においてもpHコントロール0が最も優秀なので、その予防を図る場合にもやはりこちらを最優先に与えてみて、食い付きが悪い場合には他のラインナップを選択しましょう。
なお、いずれを選択するにしても一般に売られているキャットフードよりも価格が高いので、愛猫の食い付きを見ながら最適な商品を確実に見極め、Amazon等のネット通販を利用して定期購入するのが最も経済的です。
ロイヤルカナン 療法食 pHコントロール0 ドライ 猫用 2kg
味の違い
同じpHコントロールでもそれぞれの製品ごとに味や香りが微妙に異なるため、猫の嗜好次第では“1だと食べるのに0だと食べない”などと言うことも十分にあり得ます。
ただし、製品としてどれが美味しいとか不味いと言う話ではなく、あくまでもその猫の好みに合うかどうかの問題なので、これを買えば大丈夫と一概に言うことはできません。
ロイヤルカナンのカスタマーサポートの話では、一般に食い付きが良いと言われるオルファクトリーでも全く食べようとしない猫が存在するとの話ですし、我が家のようにゼロを最も喜んで食べる猫もいるくらいですからね。
終わりに
今回は、ロイヤルカナンのpHコントロール1、2の違いや、結石の溶解と生成防止に対する各商品の効果の違いについて投稿してきました。
いずれも尿路結石を患う猫用の療法食として非常に優れた製品ですが、それぞれの特徴を理解し、大切な愛猫にとって最適な選択をしていただきたいと思います。
コメント
phコントロール 0の犬用ドライは無いんですか⁈