あんこ餅と大福はいずれもポピュラーな和菓子ですが、似ているようで両者には大きな違いがあることをご存知でしょうか。
一体何が違うのか…今回はその疑問を解決します。
辞書を引くと…
大福と餅の違いを明らかにすべく、まずは国語辞書で“大福”を引いてみると、“餡を餅の皮で包んだ和菓子”と書かれていました(goo国語辞書より)。
“餡を餅の皮で包んだものって結局餅じゃねえか…”と思ってしまうかもしれませんが、少なくとも現在私たちが食べている大福とあんこ餅には明確な違いがあるのです。
早速その違いを解説していきましょう。
皮が違う
あんこ餅と大福の最も大きな違いは、皮(餡を包む周りの部分、“あんこではなく餅の部分”と言った方がよいのでしょうか)にあります。
両者ともに中に餡が入っている点は共通ですが、あんこ餅の皮が蒸したもち米をついてつくる正真正銘の餅であるのに対し、大福の皮には求肥が用いられます。
求肥は粉にしたもち米に水と砂糖を加え加熱して練り上げたもので、大福をはじめ様々な和菓子に用いられる他、そのまま和菓子としても食されています(求肥の詳細は後述)。
Point
大福の皮(周りの部分)には求肥が用いられる
あんこ餅
あんこ餅と言うと餅で餡を包んだ和菓子をイメージされる方が多いと思いますが、その他にも様々な種類があり、地域によって呼び方が違ったりもします。
あんころ餅
あんころ餅は、餅を小豆でできた餡で包んだ和菓子です。
一般的なあんこ餅や大福餅と異なりあんこで餅を包み込むと言う発想が面白いですが、皮と中身が逆になっている点が興味深いですね。
あんころ餅は関西や北陸地方で食される機会が多いらしく、土用の入りの日にあんころ餅を食べる風習があるそうです。
ぜんざい
ぜんざいは小豆を砂糖で煮た食べ物で、その中に餅や白玉団子を入れて食べることもあります。
東北地方ではこのぜんざいに餅を入れたものを“あんこ餅”と呼ぶことがあると言われていますが、まさにその通りで、個人的にはぜんざい=あんこ餅のイメージが強いです(筆者は東北在住)。
大福
大福(“大福餅”とも)は、小豆でできた餡を餅で包んだ和菓子です。
餡を包む餅は通常の餅よりもきめ細かくつかれているものを使い、餡の量が餅の部分と同量もしくはそれ以上であることが大福の条件と言われることもあるようです。
現在製造販売される大福のほとんどは餡の周りが本来の餅ではなく、代わりに求肥が使われているのですが、求肥も本来の餅と同様にもち米を原料としますので、“大福餅”と呼んでも違和感はないでしょう。
求肥とは
求肥(牛皮、牛肥とも)は、白玉粉や餅粉に水と砂糖を加えて練り上げたもので、大福の皮に使われるだけでなく、そのまま食されることもあります。
粉にした餅米に水と砂糖を加えて加熱することにより粘りを出すことが求肥の特徴ですが、蒸した餅米をついて粘りを出す餅との最大の違いがこの点にあると言ってよいでしょう。
求肥には水練り、茹で練り、蒸し練りの3つの製法があり、素甘やバター餅、ゆべし、練り切りなど多くの和菓子の材料に使われています。
求肥を使った和菓子
- 素甘
- 吉備団子
- バター餅
- 練り切り
- うぐいす餅
- 雪見だいふく など
大福は固くならない
求肥には砂糖や水飴が多く含まれ、その糖分が水分を保持するため、つくられてから時間が経過しても柔らかさをキープすることができます。
これに対し純粋な餅は時間の経過とともにどんどん固くなり、食べる時には再度加熱しなければなりません。
元来大福は本来の餅を薄く伸ばして餡を包んだものであり、当然ながらすぐに固くなるので火鉢で焼いて温めてから食べていたそうですが、やがてつくられてから時間が経過しても周りが固くならない求肥を使った大福が登場し現在に至ると考えられます。
まとめ
あんこ餅と大福の違いは皮(周りの部分、餡を包んでいる餅の部分)にあり、あんこ餅が餅を薄く伸ばしたものを使うのに対し大福には求肥が用いられます。
元は大福にも餅を薄く伸ばしたものが使われていましたが、その後求肥を使うようになったと覚えておきましょう。
まとめ
- あんこ餅と大福は皮(餅の部分、周りの部分)が違う
- 大福の皮には求肥が用いられる
- 大福の皮はもとは本当の餅だったがやがて求肥が使われるようになった
終わりに
今回は、あんこ餅と大福の違いについて投稿しました。
両者ともポピュラーな和菓子で私たちにとって身近な存在ですが、似ているようで実は違いがあるところが面白いですね。
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