学校プールの腰洗い槽(洗体槽)が廃止されたって本当なの!?

学校プールの腰洗い槽

私が小学生の頃、水泳の授業でプールに入る前に、”洗体槽”と呼ばれる槽にしばらく浸かったことを覚えています。

ところが、現在ではこれが廃止されたとの声を聞くのですが、本当なのでしょうか。

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はじめに

はじめに、腰洗い槽とはどのようなものなのかを確認しておきましょう。

腰洗い槽(洗体槽)とは、簡単に言えば、プールを汚さないよう体についた雑菌を消毒するための槽です。

もちろん、プールそのものにも消毒が行われてますが、それでは不十分と言うことで腰洗い槽が使われてきました。

遊離残留塩素の濃度は、プールの中が0.4ppm~1.0ppmであるのに対し、腰洗い槽の中では50~100ppm。

遊離残留塩素とは、細菌を殺菌するための塩素化合物のことを言いますが、腰洗い槽の濃度が非常に高いことをお分かり頂けると思います。

事前に、腰洗い槽で体についた細菌をしっかりと取り除くことで、プールの水をきれいに保とうと言う訳ですね。

使用状況

現在、この腰洗い槽を使用している学校は、以前に比べかなり少なくなっていると言われています。

これを使用していない学校の数が少なくとも半数に達することは間違いないようで、6~7割の学校で既に腰洗い槽が廃止されていると言う声も。

以外に思われるかもしれませんが、腰洗い槽の使用は義務ではなく、あくまでも各学校の判断により決定することができるのです。

後述するように、プールの殺菌のみで十分な効果を得られるようになったことが、大きく影響しているのでしょうね。

とは言え、腰洗い槽が完全に廃止されたわけではなく、現在でも使用している学校があることも覚えておいて下さい。

廃止の理由

効果

肝心の腰洗い槽の効果ですが、実に興味深い実験報告があります。

その実験は、大腸菌を付着させた水着を、①腰洗い槽に浸した場合と②流水で洗い流した場合の菌の残り方を調べたもの。

その結果、腰洗い槽に5分間浸した場合と30秒間流水で洗い流した場合の除菌率がほぼ同じであることが明らかになったのです。

同時に、30秒~1分程度腰洗い槽に浸かっただけでは十分な除菌効果を得ることができないことも判明。

消毒液の濃度が濃くても、短時間では意味がないと言うことなのです。

私の記憶では、腰洗い槽に浸かっている時間は1分もなかったはずですから、ほとんど効果はなかったのですね・・・。

もちろん、当時は、何のために腰洗い槽に浸かっているのかもわかりませんでしたが(笑)。

また、十分な殺菌効果を得ることができるまで高濃度の消毒液に浸かることによるリスクの方が大きいことも事実(皮膚に悪影響を与えるとの報告あり)。

以上のことを踏まえて総合的に考えても、プールに入る前にシャワーでよく体を洗い流す方がよほど効果的なのです。

腰洗い槽が使用されなくなった背景にこのような事情があることを、ご理解いただけたでしょうか。

殺菌力の向上

プールの殺菌力の向上も、腰洗い槽の廃止に関係していると言えるでしょう。

と言うのも、遊離残留塩素の濃度0.4ppm以上をキープできれば、細菌の増殖を抑えることが可能であることが明らかになっているのです。

現在のプールではもちろんこれが可能ですから、腰洗い槽が不要であることは言うまでもありません。

プールの殺菌自体が不十分だった時代には、腰洗い槽の使用が一定の意味を持っていたと言えるでしょうが、今では事情が異なるようですね。

終わりに

現在では、腰洗い槽を使用しない学校が多いことをお分かりただけたでしょうか。

もちろん、体に付いた最近を除去することは大切ですから、お子さんには、プールに入る前に十分にシャワーを浴びるように指導して下さいね。

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