頭痛がひどい時や抜歯後など、痛み止めを服用する機会も多いと思いますが、この鎮痛剤が原因で胃痛が起きてしまう可能性があることをご存知でしょうか。
今回は鎮痛剤と胃炎の関係について投稿したみたいと思います。
胃痛の原因
まずは、胃痛の原因から確認して行きましょう。
私たちの胃の中では粘膜から胃液が分泌されますが、その成分は主に、①胃酸、②ペプシン、③胃壁を保護するための物質です。
①の胃酸は非常に強力で、その酸性度はpH1~2で金属すら溶かしてしまうほど。
pH7が中性であることからも胃酸がいかに強力であるかお分りいただけると思いますが、消化はもちろん、侵入した細菌のほぼ全てを殺菌することができるのです。
こんな恐ろしい物質が胃の中にあっては胃壁自体もダメージを受けることになりかねないのですが、ここで登場するのが胃壁を保護する物質。
これが胃の粘膜をガードすることで、胃壁が傷付くことなく、食物の消化や殺菌を行うことができると言うわけです。
胃酸と胃壁を保護する物質のバランスが取れていれば胃が健康な状態ですが、逆にこれが崩れれば大変。
自らが分泌した胃酸により、胃の粘膜、胃壁自身が傷付き、炎症を起こしてしまうのが胃炎であり、胃痛の原因なのです。
鎮痛剤の影響
私たちが服用している鎮痛剤の多くは、”非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)”と呼ばれる薬剤に分類されます。
痛み止めとして有名な”ロキソニン”や”ニフラン”もこれに該当するのですが、このNSAIDsが、何と、胃液の分泌を抑制してしまうと言うのだから困ったもの。
さらに、胃酸の分泌の抑制や胃壁保護物質の分泌促進に係るホルモンの減少を引き起こしてしまう可能性もあるらしいのです。
これらの影響で胃酸と胃壁保護物質のバランスが崩れてしまうのですが、その結果、胃の粘膜が胃酸によるダメージを受けてしまい、胃痛が発生することはご周知の通り。
これが、痛み止めの服用で胃痛が起こるメカニズムなのです。
- 鎮痛剤:ロキソニン、ニフラン など
- 抗生剤:フロモックス など
抗生物質と風邪薬
胃痛を引き起こす可能性については、抗生物質にも同じことが言えます。
先ほど確認しましたが、抗生物質もその多くがNSAIDsなのですから、当然といえば当然ですね・・・。
薬を好むと言われ、世界でも稀にみる医薬品消費大国であるわが国では、事あるごとに抗生物質を処方されるケースが多いです。
これが原因で胃痛が起きてしまう可能性がある事を理解しておくことが望ましいでしょう。
対策
副作用で胃痛が発生する危険があるとは言え、痛み止めの効力は確かに魅力的です。
ひどい頭痛や生理痛など、一刻も早くその痛みから解放されたい場合には、藁にも縋る思いで痛み止めを服用する人も少なくないでしょう。
そのような時は、適切な対策を取ることで胃痛の発生を予防することができます。
具体的には、①空腹での服用を避けること、②胃薬を一緒に飲むことが極めて効果的なのですが、特に空腹での鎮痛剤の服用は厳禁。
胃が空の状態で胃酸が分泌され、胃を保護する物質が少ないとなれば、胃粘膜が胃酸の影響をもろに受けるわけですから、結果どうなるかは言うまでもありません。
よって、鎮痛剤は可能であれば食後に、それが無理なら痛み止めを飲む前に何か口にするようにしましょう。
どうしても食事が摂れない状況であれば、胃薬を一緒に一緒に飲むようにすることで、胃酸の分泌を抑制することができます。
胃薬は市販のものでも構いませんが、以前医者から処方された胃薬が残っている場合は、そちらを服用してもよいでしょう。
抜歯
突然歯の話になり意外に思われるかもしれませんが、抜歯後に胃痛に襲われる可能性がないとも言えません。
と言うのも、私自身、抜歯後の鎮痛剤の影響で胃痛を発症し、大変な目に遭った経験を持っているのです。
左の親知らずを上下2本抜歯したのですが、当日の夜から翌日にかけては口を開けることができず、食事を摂ることができませんでした。
一方、痛み止めだけはしっかり服用したのですが、これがまずかったようです。
おかげで歯の痛みは和らいだのですが、抜歯から約1週間後、ひどい胃痛に襲われ夜間に病院へ担ぎ込まれることに・・・。
検査の結果特別の疾患の兆候もなかったことから、医者曰く、抜歯後の痛み止めにより胃炎が発生した可能性が高いとのこと。
私の場合、歯医者から処方された痛み止め(ニフラン)と抗生剤(フロモックス)を3日間1日3回、その後自宅にあった鎮痛剤(カロナール)を1日3回服用しました。
カロナールはNSAIDsではありませんので、やはり、ニフランとフロモックスの影響が大きかったと考えられます。
そして、抜歯当日夜と翌日に食事らしい食事を摂らなかったこともそれに追い打ちをかけることになったのでしょうね・・・。
個人的なことを書いてしまいましたが、これから抜歯(特に親知らず)を予定されている方には、是非とも以上のことを覚えておいて欲しいと思います。
終わりに
”たかが痛み止め”と油断していると痛い目に遭う可能性があることを、お分りいただけたでしょうか。
鎮痛剤のみならず、全ての薬に何かしらの副作用の恐れがあることを、忘れないようにしましょう。
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