皆さんは“偽ショッピングサイト詐欺”をご存知でしょうか。
最近多くの被害が報告されている悪質なサイバー犯罪の1つであり、私自身も被害に遭ってしまったのですが、今回はその特徴と見分け方を解説します。
偽ショッピングサイトとは
偽ショッピングサイトは、実在するショッピングサイトのレイアウトを模倣または完全に丸パクリし、商品を販売するように見せかけて金銭を騙し取る悪質な詐欺サイトです。
その手口は非常に巧妙で、サイトのデザインについては、実在する通販サイトと全く区別が付かないほど精巧につくられているケースも珍しくありません。
詐欺サイトに騙された人が商品を注文し、支払いをしたにも関わらず商品が届かないと言うお馴染みのパターンではありますが、サイトデザインのクオリティが高い(決して褒めるべきことではありませんが)ため何ら疑いもなく購入手続きに進んでしまう人も多く、私自身も見事にやられてしまいました。
個人的な話ではありますが、過去にヤフオクで総額100万円近くの詐欺に遭い、その時の経験からネット詐欺には注意していたつもりなのですが…。
なお、偽ショッピングサイトは海外にサーバーを置いており、ほぼ全ての事案に中国人が関係していると言われています。
偽サイトの特徴
実に巧妙なつくりで、知識がない方は何ら疑うことなく騙されてしまう偽ショッピングサイトですが、実は共通する幾つかの特徴があり、正しい知識を持っていれば見分けることができます。
偽ショッピングサイトの特徴
- 不自然なURL
- フリーメールの使用
- 支払い方法が銀行振込のみ
- 電話番号の記載がない
- 架空の住所
- 不自然な日本語
- 価格が安い
不自然なURL
そのサイトのトップレベルドメインに“.top“、“.xyz“、“.bid“などの見慣れないものが使われている場合は偽ショッピングサイトである可能性が大きいです。
トップレベルドメインとは、ドメイン名をドットで分割した最後の項目のことを言いますが、国内のサイトであればそのほとんどが”.jp”、”.net”、”.com”のうちのいずれかを使用していますので、正規ショップを標榜しながらもこれら以外の見慣れないトップレベルドメインが使われている場合は、ほぼ間違いなく偽ショッピングサイトと考えてよいでしょう。
ちなみに、私が詐欺にあった偽ショッピングサイトのトップレベルドメインは”.top”でした。
フリーメールの使用
連絡先のメールアドレスがフリーメール(YahooメールやGmail)である場合は要注意です。
実在する正規ショップが連絡先のメールアドレスにこれらのフリーメールを使用することはありません。
支払い方法が銀行振込のみ
支払い方法が銀行振込のみであり、クレジットカード決済をはじめそれ以外の方法を選択できない場合は偽ショッピングサイトと考えて間違いありません。
サイト上にその旨が記載されているパターンと注文確定後の支払い画面で初めてそれが明らかになるパターンとがありますが、いずれの場合も決して振込を行わないことがポイントです。
また、指定された振込先口座の名義が企業でなく個人の場合も偽ショッピングサイトである確率が高いと考えてよいでしょう(不正に売買された口座が使われることが多い)。
電話番号の記載がない
偽ショッピングサイトはサイト上に電話番号が記載されていないことが多いです。
また、完全な偽物の電話番号を記載しているケース、他社で使われている電話番号を記載しているケースもありますので、実際に電話してみることで偽ショッピングサイトか否かを見分けることができるかもしれません。
架空の住所
正規サイトを装うために偽ショッピングサイトには会社の所在地が記載されているのですが、その住所は全くの架空で存在しないか、若しくは他の国内企業の住所を丸パクリしているかのいずれかです。
よって、グーグルマップ等で掲載される住所を検索することはそのサイトが偽ショッピングサイトか否かを見分ける上で必須の作業と言えるでしょう。
私が詐欺にあったサイトに掲載されていた住所は、例によって他の国内企業の住所を完全にコピーしたものでした。
不自然な日本語
サイト上あるいは送られてくるメールに不自然な日本語が見られた場合は、偽ショッピングサイトである可能性が極めて大きいです。
“ですます調”で書かれていた文章が突然“である調”に変化する、あるいは機械翻訳したような不自然な日本語が1箇所でもあれば、偽ショッピングサイトであると考えて間違いありません。
価格が安い
実存するショッピングサイトよりも価格が低いことも偽ショッピングサイトの特徴です。
私は偽ショッピングサイトでギターケースを購入して見事にお金を騙し取られましたが、偽サイトでの表示価格は大手楽器店の販売価格よりも3,000円近く安いものでした。
注文してしまった場合
偽ショッピングサイトで商品を注文してしまっても、お金を振り込む前に詐欺サイトだと気が付けばダメージを最小限に抑えることができます。
振込先を指定されても送金する必要はありません、と言うか、絶対に振り込んではいけません。
そのまま支払わずに無視しても何度か催促のメールが届くだけですし、どうせ相手は日本国内におらず(ほぼ間違いなく中国)、例えば訴訟を起こされることなど絶対にあり得ませんのでそのまま放置してください。
どうしても不安な場合は、念のため警察に相談するとよいでしょう。
また、詳しくは後述しますが、支払いを行わないことよりも商品注文時に入力した個人情報の漏洩に対応することの方が重要なので、当該アドレスやパスワードを他でも使用している場合はそちらを変更する必要があります。
被害にあったら警察へ
お金を振り込んだ後で詐欺に気が付いた場合はすぐに警察に行き、被害届を出します。
その際、注文ページや相手から送られてきたメールの内容(スマホの画面を見せてもよい)、指定された振込先の口座番号等の情報を可能な限り全て提出して下さい。
中でも特に重要なのが振込明細書で、これがあれば警察は関係する金融機関に対して迅速に振込の中止や対象口座の凍結を要請することができます。
口座の凍結が迅速に行われ、口座の残高が残っている場合は振り込んだお金が戻ってくる可能性がありますので、とにかく迅速に行動しましょう(振り込んだお金が引き出されてしまうと回収はかなり厳しい)。
警察へ提出するもの
- 振込明細書
- 注文ページの情報
- 送られてきたメールの内容
- 振込先口座の番号
- サイトの画像
警察曰く偽ショッピングサイトはそのほとんどが海外(基本的に中国)で運営されており、法的な問題もあって日本の警察が犯人を逮捕することは非常に困難とのことでした。
振込先に指定された口座も不法に売買されたものである可能性が大きく、日本国内で振り込まれた金を出金する係の人間も事の詳細を知らされていない場合が多いそうです。
個人情報の漏えいにも注意
偽ショッピングサイトで詐欺被害に遭うことはもちろん、個人情報の漏えいにも注意して下さい。
支払いの有無を問わず、会員登録や注文操作を通じてこちらのメールアドレス、パスワードなどの個人情報を相手に提供してしまっているからです。
詐欺サイトの管理者が海外にいる以上こちらの住所や電話番号を知られるだけなら大した問題ではありませんが、例えば登録したメールアドレスやパスワードを他サイト(ネットバンキングや個人サーバーへのログイン等)での認証に使用しているのであれば不正アクセスを受ける恐れを否定できません。
警察の話では彼らの目的はあくまでも金を得ることであり、個人情報の入手や悪用がメインではないようですが、それでも提供したパスワード等を他でも使用している場合(いわゆる使い回しをしている場合)は、念を入れてそれらの情報を更新した方がよいとのことでした。
私自身も偽ショッピングサイトの注文画面で入力したID(メールアドレス)とパスワードをあらゆる場面で使い回していたので、その後それらを破棄し、新たに設定し直しています。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
非常に巧妙かつ悪質な偽ショッピングサイトですが、今回ご紹介したように多くの特徴がありますので、少しでも不審な点がある場合は絶対に利用しないようにして下さい。
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