最近の選挙では期日前投票により投票を行う人が多いようですが、期日前投票を行うには投票前に宣誓書にてその理由を申し立てなければなりません。
本当は正当な理由がないのに、適当な理由を選択して期日前投票をしてもよいのでしょうか。
期日前投票とは
期日前投票制度は、選挙期日(=投票日)に投票できない有権者が投票日の前日までに投票を行うことができる制度です。
期日前投票が可能な期間は公示日の翌日から投票日の前日までの間ですが、投票日を待つことなく投票を行うことができる制度が期日前投票であると言ってもよいでしょう。
期日前投票を行う人の数は年々増えており、平成26年衆議院選挙においてはその数が13,152,985にも上りますが、これは総投票数54,743,087に対して24.03パーセントを占めるものであり、4人に1人が期日前投票を選択していることがわかります。
Check
- 期日前投票ができる期間は公示日の翌日から投票日の前日である
- 現在では4人に1人が期日前投票を行っている
対象となる事由
(期日前投票)
選挙の当日に次の各号に掲げる事由のいずれかに該当すると見込まれる選挙人の投票については、第44条第1項の規定に関わらず、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日の翌日から選挙期日の前日までの間、期日前投票所において、行わせることができる。(後略、各号を後述)
公職選挙法第48条の2第1項より
①仕事等、②投票日に投票区の区域外にいる、③病気等、④交通至難の場所に居住又は滞在している、⑤住居移転、⑥天災又は悪天候を理由に投票日に投票することができない者は、期日前投票をすることができます(公職選挙法第48条の2第1項)。
期日前投票の対象となる理由
- 職務や業務に従事している
- 投票区以外の地域への滞在や旅行
- 病気等
- 交通至難地域への居住および滞在
- 住居移転
- 天災や悪天候
職務・業務・用務
職務若しくは業務又は総務省令で定める用務に従事すること。
公職選挙法第48条の2第1項第1号より
仕事や総務省令で定める用務(=葬式の喪主、冠婚葬祭の主宰、冠婚葬祭における用務)に従事するため投票日に投票できない人は、期日前投票を行うことができます。
当日に職務や業務、用務を行う場所は問われません。
投票区の区域外への滞在・旅行
用務(前号の総務省令で定めるものを除く。)又は事故のためその属する投票区の区域外に旅行又は滞在をすること。
公職選挙法第48条の2第1項第2号より
何かしらの用事または事故のため、投票日に投票区(1つの投票所が設けられる区域)の区域以外に旅行または滞在することが見込まれる人は期日前投票を行うことができます。
用務(公職選挙法第48条の2第1項第1号に定めるものを除く)とはなすべき仕事のことで、意味が広い言葉なので、どんなことでもいいので用事があり投票日に投票区以外に滞在している可能性があれば期日前投票を行うことができると考えてよいのではないでしょうか。
病気等
疾病、負傷、妊娠、老衰若しくは身体の障害のため若しくは産褥にあるため歩行が困難であること又は刑事施設、労役場、監置場、少年院、少年鑑別所若しくは夫人補導院に収容されていること。
公職選挙法第48条の2第1項第3号より
病気や負傷、妊娠などを理由に期日前投票を行うことができる他、刑事施設に収容される見込みがある場合もその対象となるようです。
交通至難地域への居住
交通至難の島その他の地で総務省令で定める地域に居住していること又は当該地域に滞在をすること。
公職選挙法第48条の2第1項第4号より
投票日に交通至難の離島および総務省令で定める地域に居住または滞在する人は、期日前投票を行うことができます。
住居移転
その属する投票区のある市町村の区域外の住所に居住していること。
公職選挙法第48条の2第1項第5号より
住居移転により、投票日に投票区以外の住所に居住していることが見込まれる人は期日前投票をすることができます。
天災・悪天候
天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること。
公職選挙法第48条の2第1項第6号より
天災又は悪天候により投票所に到達することが困難と見込まれる場合には、期日前投票を行うことができます。
理由なしでもOK?
(期日前投票の事由に該当する旨の宣誓書)
選挙人は、法第48条の2第1項の規定による投票をしようとする場合においては、同項各号に掲げる事由のうち選挙の当日自らが該当すると思われる事由を申し立て、かつ、当該申立てが真正であることを誓う旨の宣誓書を提出しなければならない。
公職選挙法施行令第49条の8より
期日前投票を行うにあたり、投票前に宣誓書にて投票日に投票できない旨を申し立てるとともに、その申し立てが真正であることを誓います。
公職選挙法が認める期日前投票を行う理由は前述の通りですが、該当する理由がない場合は適当な項目を選択して構いません。
法律を忠実に解釈すれば、宣誓書に記載される選択肢の中のいずれかに該当する理由がある場合に限り期日前投票を行うことができると理解すべきですが、仮に嘘をついて期日前投票を行ったとしても、それに対する罰則が設けられているわけではないのです。
まあ、仕事や用事のため投票区にいないことを理由にすれば、実際には嘘にならないケースがほとんどだと思いますが…。
もちろん、正当な理由がないなら投票日に投票を行うべきとの考えは尤もですが、単に選挙期日に投票するのが面倒と言う理由で期日前投票を選択する人も少なくないでしょうから、理由がどうであれ、期日前投票制度があるからこそ投票に参加している人が存在することを重視すべきではないでしょうか。
終わりに
今回は、期日前投票を行うことができる条件と宣誓書への記載について投稿しました。
法律により認められる正当な理由があって期日前投票を行うのが望ましいことは言うまでもありませんが、理由はどうであれ、最も大切なことは有権者1人1人が投票を行い選挙に参加することですから、選挙期日に投票所へ足を運ぶのが面倒な方には期日前投票をお勧めしたいと思います。
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