賃貸住宅で石油ストーブが禁止される理由とは!? 大家が答えます!

賃貸住宅での灯油禁止の理由

賃貸住宅を借りる場合、石油ストーブや石油ファンヒーターの使用が禁止されるケースが少なくありませんが、一体なぜでしょうか。

その理由を賃貸住宅のオーナーが解説します。

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石油ストーブ・ファンヒーターの禁止

賃貸住宅では、①石油ストーブと②石油ファンヒーターの使用が禁止されることが多いです。

ご存知の通り両者ともに石油(灯油)を燃料とする暖房器具であり、冬場の寒さ対策に欠かせないアイテムとも言えるのですが、なぜこれらの使用が禁止されるのでしょうか。

以下で、その理由を解説します。

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賃貸住宅では①石油ストーブと②石油ファンヒーターの使用が禁止されることが多い。

灯油禁止の理由

住宅の賃貸借においては、①火事の防止、②一酸化炭素中毒の防止、③結露の防止の3つの観点から石油ストーブおよび石油ファンヒーターの使用が禁止されることがあります(“灯油禁止”)。

灯油禁止の理由

  1. 火事の防止
  2. 一酸化炭素中毒の防止
  3. 結露の防止

火事の防止

最も単純な理由とも言えますが、火災発生のリスクを軽減するために灯油禁止(石油ストーブ並びに石油ファンヒーターの使用の禁止)が契約条件に盛り込まれることがあります。

特に石油ストーブについてはその使用に起因する火災が度々発生していることもあり、使用を良しとしない大家さんは少なくありません。

また、私も同様の対応を取ったことがありますが、高齢の借主が1人暮らしをする場合に限り灯油の使用が禁止されるケースもあります。

もちろん、ガスやその他の家電製品に起因して火災が発生する可能性もあり、石油ストーブやファンヒーターの使用のみを禁止することに違和感を覚える方も多いかもしれませんが、万が一の場合に保管してある灯油に引火して大事に発展する可能性があることも灯油が禁止される理由です。

一酸化炭素中毒の防止

一酸化炭素中毒を防止する目的で石油ストーブおよび石油ファンヒーターの使用が禁止されることもあります。

最近の石油ストーブや石油ファンヒーターは非常に優秀で、一酸化炭素中毒の恐れはほとんどなくなったと言っても過言ではないのですが、それでも可能性がゼロではない以上、貸主(大家)にとってはこれを放置することはできません。

万が一にも最悪の事態が起こってしまえばその賃貸住宅は“事故物件”となり、その後の賃貸経営が非常に困難になりますので、貸主が神経質になるのは当然のことなのです

結露の防止

灯油禁止の最大の理由がこれと言ってもよいかもしれませんが、結露の防止を目的に石油ストーブ並びに石油ファンヒーターの使用が禁止されるケースが多くあります。

と言うのも、その性質上、灯油を燃焼させるとそれとほぼ同量の水が発生し、結露を発生させてしまうのです。

その結果、カビの発生、クロスやクッションフロアの損傷、(木造の場合)柱等の木材の損傷など住宅にとって非常に好ましくない状況を招いてしまいますから、大家にとってみればこれほど迷惑な話はありません。

最近の住宅は特に気密性に優れるためなおさらその影響を受けやすく、契約条件に灯油禁止が盛り込まれる場合が多いのですが、私もここ10年以内に建てた物件については灯油禁止を絶対条件としており、入居者が約束を破りカビ等が発生した場合にはその修繕費を全面的に入居者が負担する旨の特約を締結しています。

エアコンや電気ストーブを使用すべき

残念なことではありますが、“灯油禁止”の条件で賃貸借契約を結んでいるにも関わらず、大家さんにバレないように入居者がこっそりと石油ストーブやファンヒーターを使用するケースも少なからず存在します。

しかし、“バレなければよい”などと言う理屈は絶対に通用しませんし、道義的にも許されないことは言うまでもありません。

そもそも契約違反をしている時点でアウトですし、国土交通省が発表する“原状回復をめぐるガイドライン”でも、結露を放置したことにより拡大したカビやシミに対する修繕費用は借主が負担すべきものとされています。

つまり、契約により石油ストーブおよびファンヒーターの使用が禁止されている場合はもちろんのこと、灯油の使用について特に取り決めがない場合にも、その使用が原因で入居者の退去時負担費用が増える可能性があることを理解しておかなければならないのです。

以上を考慮すれば、賃貸住宅に住む場合には石油ストーブやファンヒーターではなく、エアコンや電気ストーブを使用するのがベターと言えるでしょう。

まとめ

住宅の賃貸借においては、石油ストーブやファンヒーターの使用が禁止されることがあります。

①火災の防止、②一酸化炭素中毒の防止、③結露の防止がその理由ですが、特約で石油ストーブと石油ファンヒーターを使用しない旨を約束する場合が多く、住宅の借主はこれを厳守しなければなりません。

仮にも約束を破り灯油を使用し、結露に起因するカビやシミによる住宅の損傷が発生した場合、その修繕費用は入居者が負担することになりますので注意が必要です。

終わりに

今回は、賃貸住宅で石油ストーブと石油ファンヒーターの使用が禁止される理由を解説しました。

灯油が禁止されることは入居者にとってデメリットのようにも思えますが、それにはしっかりとした理由が存在します。

どうしても石油ストーブや石油ファンヒーターを使いたい場合は、灯油の使用が禁止されない物件を探しましょう。

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