皆さんはテニスのコートにいくつかの種類があることをご存知でしょうか。
今回は、現存するテニスコートの種類とそれぞれのコートの特徴、プロテニスツアーとの関係について投稿します。
テニスの3大コート
テニスコートには幾つかの種類がありますが、①ハードコート、②クレーコート、③グラスコートの3つはテニスの3大コートとも言える主要なコートで、プロテニスツアーの大会のほとんどがこれらのコートを採用しています。
それでは早速、各コートの特徴を解説していきましょう。
材質 | 球足 | 特徴 | |
ハードコート | 土 | 普通 | イレギュラーバウンドが少ない。足腰への負担が大きい。 |
クレーコート | セメント+樹脂 | 遅い | ボールが特に高く弾み失速する。イレギュラーバウンドが多い。 |
グラスコート | 芝 | 速い | ボールが弾みにくい。コートの整備、維持が難しい。 |
ハードコート
ハードコートはセメントやアスファルトを基礎とし、その上に合成樹脂によるコーティングを施したコートです。
ボールのバウンドが安定しており、イレギュラーバウンドがほとんどないため選手が技術を発揮しやすく、プレイヤーの実力が反映されやすいコートと言ってよいでしょう。
球足(打球の速さ)はグラスコートより遅いもののクレーコートより速く、一般的には高速サーブやボレーの技術に優れる選手に有利とされています。
ただし、会場によって球足やバウンドの高さが異なることも事実で、例えば同じハードコートでも全米オープンのコートよりも全豪オープンのコートの方が球足が遅いと言われます。
他のコートと比べて雨に強く乾きやすいですし、コートの維持管理もさほど難しくありません。
よって世界で最も普及しているコートであり、プロテニスツアーでもハードコートを使用する大会が最も多いです。
ハードコートの特徴
- バウンドが安定している
- 選手の実力が反映されやすい
- 会場によって打球の速さやバウンドの高さに差がある
- 体への負担が大きい
クレーコート(土)
クレーコートは、土の上に砂を撒いたコートです。
日本にあるクレーコートは粘土質の地面に真砂土を敷いたものですが、プロテニスツアー等の国際大会ではレンガを砕いた土(アンツーカ)が敷かれたレッドクレーが採用されており、クレーコートと言えばレッドクレーをイメージする人が多いかもしれません。
球足は最も遅く、ポイントが決まりにくいためロングラリーになることが多く、ストロークとフットワーク、体力に優れる選手にとって有利なコートと言われています。
フラット系(回転が少ない)のボールがバウンドとともに失速してしまうのに対し、強烈なスピンがかかったボールは大きく弾み、相手選手に力を込め難い高い打点でのスイングを強いることができるため大きな武器になります(クレーキングと言われるラファエル・ナダル選手がその典型)。
その独特な特徴からクレーコートを苦手とする選手も多く、クレーの大会では上位選手が下位選手に敗れる波乱が起こることも。
逆にクレーコートでこそ本領を発揮するクレーのスペシャリスト(“クレーコーター”)も多く存在します。
クレーコートの特徴
- 球足が遅い
- 打球が大きく弾む(特にスピン量が多い打球)
- バウンド後に打球が失速しやすい
- ポイントが決まりにくく長いラリー戦になることが多い
- フットワークと体力が求められる
グラスコート(芝)
グラスコートは天然芝でできたコートです。
球足は最も速く、バウンドが低いことに加えてイレギュラーバウンドも起こりやすいためじっくり構えてストロークを行うことが難しく、ラリー戦に持ち込み勝負するストローカーに不利なコートと言えます(世界を代表するストローカーの錦織圭選手はその典型)。
一方、ビッグサーバーはじめサーブ力に優れる選手やサーブ&ボレーを得意とする選手にとって非常に有利なコートであり、その代表格とも言えるロジャー・フェデラー選手はグラスコートで行われる4大大会のウィンブルドン選手権を8回も優勝しています。
コートの維持管理の面では他のコートよりも難しく、芝刈りや散水など多くの手間がかかるため、グラスコートで開催される大会は少なく、プロテニスツアーではウィンブルドン選手権とその直前に行われる数大会しか開催がありません。
グラスコートの特徴
- 球足が最も速い
- 打球のバウンドが低い
- イレギュラーバウンドが多い
- サーブ力、サーブアンドボレーに優れる選手に有利
- 維持管理に手間がかかる
その他のコート
カーペットコート
その名の通りカーペット(じゅうたん)を敷いたコートで、屋内(インドア)のコートに採用されることが多いようです。
材質はハードコートに近く、プロテニスツアーの中にはカーペットコートで行われるにも関わらずサーフェスがハードコート又は屋内ハードと表記される大会もありますが、球足は純粋なハードコートよりも速い場合が多いです。
オムニコート
オムニコートは日本とオーストラリア、ニュージーランドで普及しているコートで、人工芝に砂を撒いて適度に摩擦力を軽減しています。
球足はハードコートよりも遅く、なおかつバウンドが弾みにくいと言う独特な特徴を持ちますが、日本以外でオムニコートで開催される大会はほとんどありません。
プロテニスツアーとコート
4大大会(グランドスラム)
プロテニスツアーの中で最も格式が高い4大大会(グランドスラム)は年に4大会が開催され、全豪オープンと全米オープンがハードコート、全仏オープンがクレーコート、全英(ウィンブルドン)がグラスコートで行われます。
4大大会とコートコート | 開催国 | 開催時期 | |
全豪オープン | ハード | オーストラリア | 1月 |
全仏オープン | クレー | フランス | 5月下旬~6月上旬 |
ウィンブルドン | 芝 | イギリス | 6月下旬~7月上旬 |
全米オープン | ハード | アメリカ | 8月下旬~9月上旬 |
マスターズ1000
男子プロテニスツアーでグランドスラムに次ぐ高い格式の大会がマスターズ1000です。
マスターズ1000は年間9大会が開催され、そのうちハードコートで行われる大会が6つ、クレーコートで行われる大会が3つありますが、グラスコート(芝)で開催される大会はありません。
マスターズ1000とコート大会名 | コート | 開催場所 |
開催時期 | |
BNPパリバ・オープン | ハード | アメリカ | インディアンウェルズ | 3月中旬 |
マイアミ・オープン | ハード | アメリカ | マイアミ | 3月下旬~4月上旬 |
モンテカルロ・マスターズ | クレー | フランス | ロクブリュヌ=カップ=マルタン | 4月中旬 |
マドリード・オープン | クレー | スペイン | マドリード | 5月上旬 |
BNLイタリア国際 | クレー | イタリア | ローマ | 5月中旬 |
ロジャーズ・カップ | ハード | カナダ | トロント/モントリオール | 7月下旬~8月上旬 |
ウエスタン・アンド・サザン・オープン | ハード | アメリカ | シンシナティ | 8月中旬 |
上海マスターズ | ハード | 中国 | 上海 | 10月中旬 |
パリ・マスターズ | ハード | フランス | パリ | 10月下旬~11月上旬 |
まとめ
テニスのコートにはいくつかの種類がありますが、特にメジャーなハードコートとクレーコート、グラスコートではバウンドの高さや打球の速さなどが大きく異なり、各コートの特性が選手の戦績にも大きな影響を与えています。
まとめ
- テニスのコートにはいくつかの種類がある
- ハードコート、クレーコート、グラスコートの3つは特にメジャーなコートである
- コートによって球足やバウンドが異なり、選手の得意不得意が顕著に現れることもある
終わりに
今回は、テニスコートの種類とそれぞれのコートの特徴を解説しました。
実際にテニスをプレーされる方はもちろんのこと、テニスの試合を観戦又は視聴される方も各コートの特徴を理解することでより楽しく、より専門的な視点でテニスに関わることができるのではないでしょうか。
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