“看護師”と“看護士”は両方とも看護を行う人、つまり“ナース”を表す言葉のように思えますが、どちらが正しい表現なのでしょうか。
今回は、両者の意味の違いや2つの言葉が存在する理由について投稿します。
どっちも“nurse”
“師”と“士”の漢字の違いこそあるものの、“看護師”と“看護士”はいずれも看護を行う人を指す言葉であり、英語にすれば両者とも“nurse(ナース)”と表記されます。
ところが、現在は看護士ではなく看護師と表現するのが正しいとされているのですが、以下でその理由を我が国の看護師制度の歴史に注目しながら解説します。
看護士
“看護士”は、女性の看護人を“看護婦”と呼ぶのが一般的だった時代の男性看護人の呼称です。
今から71年前の1948年、この年に交付された“保健婦助産婦看護婦法”において女性の看護人を看護婦と呼ぶことが規定され、さらに1968年の法改正で男性の看護人を看護士と呼ぶことが規定されました。
それから同規定が次に変更される2002年までの35年間、女性の看護人が看護婦、男性の看護人は看護士と2つの言葉が使い分けられて来たのです。
“看護士は看護人(nurse)を表す2つの呼称のうちの1つだった”わけですが、現在もその名残が存在していると言ってよいでしょう。
看護師
2002年の法改正を受け、男性の看護人を看護士、女性の看護人を看護婦と呼ぶ旧来のルールが廃され、男女問わずに“看護師”と呼ぶことが規定されました。
これにより、現在は男女関係なく“看護師”が用いられるのですが、看護婦と看護士が看護師に統一されたと考えれば解りやすいと思います。
同時に、“看護師”と“看護士”の関係を歴史を辿りながら解明することで、“看護婦”と言う言葉が今では死語になりつつある理由もご理解いただけるのではないでしょうか。
看護人(ナース)の呼び方の変遷男性 | 女性 | |
1968~2002年 | 看護士 | 看護婦 |
2002年~ | 看護師 |
終わりに
今回は、“看護師”と“看護士”と言う2つの言葉の関係を、歴史を辿りながら解説しました。
いずれの表現を用いても大きな支障が出ることは考え難いですが、正式な表現が求められる状況では“看護師”を使うのが無難かもしれませんね。
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