事業で商品券を購入される個人事業主の方も少なくないと思いますが、商品券代を経費に計上してもよいのでしょうか。
今回は、商品券を購入した場合や使用した場合の帳簿処理について解説します。
商品券とは
商品券にはいくつかの種類があり、おなじみの百貨店商品券はもちろんのこと、ギフトカードやQUOカード、図書カードなどもこれに該当します。
AmazonギフトカードやAppleギフトカードも商品券の1種ですが、これらの中には商品券やカードの形式を持たず、決済時にカード番号やシリアルキーを入力するものもあります。
ちなみに私は仕事でApple製品を使用しており、MacやiPadの購入にAppleギフトカードを使用することもありますが、アフィリエイター等の個人事業主の方の中には同じくAppleギフトカードを入手し、Apple製品の購入に充てている方も多いのではないでしょうか。
商品券の例
- 百貨店商品券
- QUOカード
- 図書カード
- Amazonギフトカード
- Appleギフトカード
商品券は経費になる?
結果的に商品券は経費になり得ますが、単に商品券を購入しただけでは経費としては認められず、その商品券を使用したタイミングで間接的に経費に計上されます。
商品券を購入した段階では現金を商品券に換えたに過ぎず、経費に計上することができないと覚えておきましょう。
商品券の使用については、主に①取引先等への贈答と②自社(自分)での使用の2通りの使用方法が考えられますが、アフィリエイター等の個人事業主であれば、備品などの購入のため自ら商品券を使うケースがほとんどだと思います。
Point
- 商品券の購入を直接経費に計上することはできない
- 購入した商品券を使用した場合に初めて商品券が経費になる(あくまでも間接的に)
帳簿のつけ方
商品券を購入した時
商品券を購入した場合、借方の勘定科目を貯蔵品または商品券(他店商品券)として仕訳します。
厳密には借方の勘定科目を貯蔵品とするのが正しいらしいのですが、個人事業主であれば、金額が間違っていない限り貯蔵品でも商品券でも問題ありません(税務署に確認済み)。
例として、1万円の商品券を購入した場合は下表のように帳簿を処理します(商品券の購入に消費税は課税されない)。
1万円の商品券を購入した場合の帳簿処理借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
貯蔵品(商品券) | 10,000 | 現金 | 10,000 |
実際の金額よりも安く購入した場合
その商品券の金額よりも安く商品券を購入した場合は、差額を雑収入として貸方の勘定科目に仕訳します。
例えば10,000円の商品券をヤフオクで9,500円で購入した場合、下表のように帳簿を処理します。
10,000円の商品券を9,500円で購入した場合借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
貯蔵品(商品券) | 10,000 | 現金 | 9,500 |
雑収入 | 500 |
商品券を使用した時
商品券を使用してパソコン等の備品を購入した時は商品券を貸方勘定科目に仕訳しますが、10,000円の商品券を使ってApple pencilを10,000円で購入した場合は下表のように帳簿を処理します。
例によって貸方の勘定科目は貯蔵品でも商品券でも構わないものの、商品券の購入時の名目に合わせておくとよいでしょう。
ここで購入したApple Pencilを消耗品費として経費に計上することができます。
以上のように購入しておいた商品券を使って備品等を購入した場合、間接的に商品券が経費になったと考えることも可能かもしれませんが、実際に経費に計上するのは商品券を使って購入した備品等であることがポイントです(今回の例ではApple pencil)。
なお、税抜経理を行う場合は借方を消耗品費9,259円と仮払消費税741円に仕訳ますが、基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者(=免税事業者)にはこの処理は必要ありません。
10,000円の商品券で備品を10,000円分購入した場合借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
消耗品費 | 10,000 | 貯蔵品(商品券) | 10,000 |
現金と併用した場合
商品券と現金を併用して備品等を購入した場合は、貸方の勘定科目に現金での支払い分と商品券での支払い分を記載します。
現金7万円、商品券3万円を使って10万円のパソコンを購入したとすると、下表のように帳簿を処理します。
10万円のパソコンを現金7万円とギフト券3万円で購入借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
消耗品費 | 100,000 | 現金 | 70,000 |
貯蔵品(商品券) | 30,000 |
商品券を贈答した時
アフィリエイター等の個人事業主には縁がない話かもしれませんが、購入しておいた商品券を取引先等に贈呈した時は借方の勘定科目を接待交際費として帳簿を処理します。
この接待交際費を経費に計上することが可能ですが、間接的ではあるものの、購入後貯蔵品としてストックしておいた商品券がこのタイミングで初めて経費になるとも言えます(直接経費になるのはあくまでも接待交際費)。
商品券の贈答に消費税は発生しません。
なお、商品券を贈答するパターンとしては、①取引先等へのお礼や②お歳暮もしくはお中元としての贈呈、③顧客へのキャッシュバックキャンペーンなどがあります。
10,000円の商品券を贈答する場合借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
接待交際費 | 10,000 | 貯蔵品(商品券) | 10,000 |
まとめ
単に商品券を購入しただけでは経費に計上することができません。
貯蔵品としてストックしておいた商品券を使用して備品などを購入した時、商品券を贈答した時に初めて商品券が経費になりますが、それは間接的なものであり、借方の勘定科目に仕訳するのはあくまでも購入した備品等や接待交際費であることがポイントです。
まとめ
- 商品券を購入しただけでは経費に計上することができない
- 商品券を購入した時は借方の勘定科目を貯蔵品もしくは商品券として仕訳する
- 商品券を使用したとき、贈答した時は購入した備品代や接待交際費を経費に計上する
終わりに
今回は、事業で商品券を購入した場合の帳簿処理の仕方を解説しました。
単に商品券を購入しただけでは経費に計上することができず、貯蔵品もしくは商品券として借方の勘定科目に仕訳することを覚えておきましょう。
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