選挙運動や政治活動を行うにあたり、文書図画はその取り扱いに最も気を付けなければならないものであると言っても過言ではありませんが、具体的にどのようなアイテムがこれに該当するのでしょうか。
本投稿では、その具体例や文書図画の規制について解説します。
文書図画とは
公職選挙法が言うところの文書図画は、社会一般で用いられるよりも広い範囲を対象としています。
具体的には、ポスター、看板、ちょうちん、のぼり旗、プラカード、ハガキ、挨拶状、チラシ、名刺、書籍、新聞、スライド、映画などがこれに該当する他、インターネットを経由してコンピューターのディスプレイに表示される情報も文書図画に含まれます。
文書図画に該当するもの
- ポスター
- チラシ
- 名刺、ハガキ、挨拶状
- 書籍
- 看板の類(看板、のぼり旗、プラカード、ちょうちん)
- 映写等の類(スライド、映画)
- ウェブサイトに表示される情報
掲示の規制
選挙運動
選挙運動のために使用する文書図画は、以下に列挙するものを除いて掲示することができません(公職選挙法第143条第1項)。
サイズや枚数などに細かな規制が設けられていますが、ポスター、ちょうちん、立札および看板の類(のぼり旗を含む)については、街頭演説で使用することができませんので、特に注意が必要です(選挙カーに取り付けて使用するものを除く)。
なお、選挙ポスターのサイズと枚数については、こちらで詳しく解説しています。
選挙運動で掲示できる文書図画
- 選挙運動用のポスター
- 選挙事務所で使用するポスター、立札、ちょうちん、看板の類
- 選挙カー及び選挙運動用の船舶に取り付けて使用するポスター、立札、ちょうちん、看板の類
- 公職の候補者が使用するたすき、胸章及び腕章の類
- 演説会場で使用するポスター、立札、ちょうちん、看板の類
- 屋内の演説会場で使用する映写等の類
- 個人演説会告知用のポスター
政治活動
文書図画の掲示は、選挙運動のみならず、政治活動においても規制を受けます。
公職の候補者又は立候補予定者(公職にあるものを含む)は、政治活動において、①その氏名を表示する文書図画、②その氏名が類推されるような事項を表示する文書図画、③その後援団体の名称を表示する文書図画を掲示することができません(公職選挙法第143条第16項)。
ただし、以下に列挙するものは使用できます。
なお、上記の規定により政治活動のための街頭演説で公職の候補者等の名前が入ったたすきを使用することはできませんが、選挙期日の公示(告示)前に立候補予定者が“本人”と書かれたたすきを身に付けて街頭演説を行う背景にはこの文書図画の掲示の規制があり、彼らはこれに違反しないように本人と記載されるたすきを使用しているのです(公示前の政治活動で気を付けること)。
政治活動で掲示できる文書図画
- 公職の候補者等およびその後援団体の事務所に掲示する立札、看板の類
- 政治活動用のポスター(ベニヤ板やプラスチック板に裏打ちされたものを除く)
- 演説会等の会場で使用されるもの(ポスター、看板、スライド、映写等の類など)
頒布の規制
選挙運動のために頒布することができる文書図画は、①選挙運動用のハガキ、②選挙運動用のビラ、③広告が記載された新聞、④選挙公報であり、これら以外の文書図画を頒布することはできません(ウェブサイト等を利用して頒布されるものを除く)。
頒布する文書図画のサイズや枚数、頒布方法などには詳細な規制が設けられています。
なお、現在ではウェブサイト等を利用する方法および電子メールを利用する方法による文書図画の頒布が解禁されていますので、これらを利用して文書図画を頒布することが可能です。
まとめ
公職選挙法が言うところの文書図画は広い範囲を対象とするものであり、ポスターや看板、ハガキ、ウェブサイト上に表示される情報など様々なものがこれに該当します。
また、選挙運動および政治活動において、その掲示や頒布について厳しい規制を受けますので、文書図画の取り扱いには十分な注意が求められます。
終わりに
今回は、選挙運動および政治活動のために使用される文書図画について投稿しました。
公職選挙法の規制は非常に細かいことで有名ですが、文書図画の扱いは特に厳しく制限されますので、その取り扱いには十分に注意しましょう。
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