“HDDは内側と外側で読み書きの速度が違う”と言う声を聞きますが、本当かどうか気になったので実験してみました。
早速その結果を投稿しようと思います。
はじめに
ご存知の通りデータはプラッタ(円盤状のディスク)の上に記録されますが、HDDの動作中このプラッタは高速回転しており、その上を磁気ヘッドを先端に持つアームが動き、必要な場所にアクセスして情報の読み書きを行います。
読み書きの速度は①プラッタの回転速度(回転数/分)と②記録領域の密度に影響される他、③内外周による差も大きいと言われていますが、円盤が回転する性質上、内側ほど1回転毎にアクセスできる領域が少なくなるため、磁気ヘッドが内側に移動するに連れて速度が低下するわけですね。
とは言え、“百聞は一見にしかず”と言う有名な言葉もありますから、理論通り本当に速度低下が見られるのかどうか、また実際にそれが起こったとして内外での速度の差はどれくらいなのかを実際に確かめてみることにしました。
なお、HDDは外側の領域から順々に使用する仕組みになっており、上の図で言えば使用領域がA→B→Cと内側に移動するに連れて読み書きの速度が落ちる計算ですが、実験の結果は…。
実験内容
実験内容は実にシンプルで、外付けHDDに一定量のデータを転送し、ディスクの外側の領域を使用する場合と内側を使用する場合の転送速度の違いを調べようと言うもの。
信頼性を高めるべく、容量が①1TBと②500GBの2つの外付けHDDのそれぞれで同じ実験をしていますが、両者とも全容量の8~9割を占める量のデータ(800GBと470GB)を書き込んだので、最終的にはディスク上のかなり内側の部分まで使用しています。
使用したHDD | HDDの容量 | 書き込んだデータの量 | HDD容量に対する書込み量の割合 |
LaCie/LCH-RK1TU3S | 1TB | 800GB | 80% |
LaCie/LCH-RK005U3 | 500GB | 470GB | 94% |
ちなみに、PCはMacBook12インチを使用。
USB3.0対応のUSBハブを使い2台の外付けHDDを接続して、コピー元のディスクのデータをもう1台のHDDにコピーしています(1TBモデルと500GBモデルに1回ずつ)。
MacはWindowsのようにデータのコピー時に転送速度を表示する機能を持たないので、1分あたりの転送量を目で確認して転送速度(転送量/秒)を算出しました。
結果
5時間を超える実験が終わりいよいよ結果が出たわけですが、理論通り記録量が増加しHDDの使用領域が内側に移動するに連れ、やはり書き込み速度が低下することが確認されています。
1TBモデル、500GBモデルのいずれも開始直後は約100MB/秒でデータの転送が行われたものの、転送データの総量の80%(1TBモデルでは640GB、500GBモデルでは370GB)分の書き込みが終了した時点では60MB/秒まで低下…。
HDD | 転送速度 | |||
開始直後 | 30%終了時点 | 80%終了時点 | 終了直前 | |
LaCie/LCH-RK1TU3S(1TB) | 105MB/秒 | 97MB/秒 | 63MB/秒 | 50MB/秒 |
LaCie/LCH-RK005U3(500GB) | 103MB/秒 | 96MB/秒 | 60MB/秒 | 47MB/秒 |
さらに終了直前(1TBモデルは800GB、500GBモデルは470GBの書き込み)では50MB/秒を下回るまで落ち込んでしまいましたが、開始直後の約1/2の速度ですね。
また、今回の実験ではかなりの量の情報を転送しましたが、それでも1TBモデルが約200GB、500GBモデルについては約30GB空き容量が確保されていることを考えれば、ディスクの容量ギリギリまで書き込んだ場合にはさらに速度が落ちると思われます。
終わりに
今回の実験を通じて、HDDの内側を使用する場合と外側を使用する場合で書き込み速度に差が生じることを確認することができました。
特に、記録データ量が増加してディスク容量の限界に近付いた段階での書き込み速度は最高の50パーセントを下回るほどで、内外差による影響がかなり大きいことを物語っています。
本投稿でもご紹介した通り、HDDの読み書き速度はプラッタ上の記憶領域の密度とディスクの回転数によっても変化しますが、より効率よくデータの書き込みを行うためには内側を使わずに済む確率が高い容量の大きなモデルを選択するのが良いのかもしれませんね。
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